喰いタン

僕は寺沢大介の料理マンガ…ミスター味っ子(II含む)、将太の寿司喰いタン…が大好きで、コミックも全巻そろえてたりします。喰わせモン!だけはどうかと思うので買ってませんけど。

まあ、そういう人なので、喰いタンがドラマ化されると知ったときに、アレ?と思ったんです。このマンガ、全然人気ないはずなんですよ。コミック3巻の表紙裏の作者のコメントに売れてないことを臭わせるものがありましたし、そのせいで味っ子IIと交互の隔週連載になっちゃったはずなんです(苦笑)。単行本が全然出回ってなくて、Amazonにも在庫なくて、家の近所の本屋を探したけど見つからなくて、大阪までわざわざ買いに行ったこともありました。だからまず、ドラマ化されるほど人気があったんだ!という驚きがまず先にきました。

あと、ドラマ化するにしても、原作の1話あたりの分量が少なくて、18〜20ページで完結する短編ばっかりなので、60分のドラマにするには無理だと思ったし、高野の豪快すぎる喰いっぷりも、とても実写では表現できるとは思えませんでした。

で、見てみたんですが、こりゃ高野が大食いってことくらいしか、原作の設定が残ってねー。オリジナル設定だらけで、これが喰いタン?と唖然呆然。そりゃあ原作はそのままじゃドラマ化できるような素材ではないけど、ここまで綺麗さっぱり変えちゃうと、もはや喰いタンじゃないよ。

東山紀之の高野は、思ってたよりは悪くはなかった……見た目はね。でも、性格、行動、喰いっぷり…原作とは全然違うんだよなぁ。

原作とまったく違うという点をさておいても、日テレ土曜の21時枠らしい安っぽくてしょぼいドラマだとしか言いようがない…。嗚呼…。

ミスター味っ子のアニメはもしかしたら原作より面白いかもと思うし、将太の寿司のドラマも、主人公の将太を演じていたのが柏原崇で、ちょっと原作の将太とは違うかなぁとは思うけど、内容は初期の短編をミックスした原作重視で、なかなか面白かったと記憶している。それに比べてこれはなぁ。原作好きにとっては不幸な映像化としか言いようがないね。こんなふうに感じたのは、高橋しん「いいひと。」以来。あれも最悪な映像化だった。

まあ、原作好きとしてひとつだけうれしいことが。それはこれで近所の本屋にも大量に喰いタンが置かれるだろうということ。これでわざわざ大阪まで行かなくて済む。でも、それだけ。