ゲド戦記

今年29本目。TOHOシネマズ二条10番スクリーンで鑑賞。朝10時の回。二条で一番でかい箱に9割くらいの入りだったかなぁ。

素人がアニメ映画を監督して、どんなものができるんだろうと、かなり期待値低めで観に行きました。期待値の低さもあってか、最初の30分くらいは、なかなかやるじゃん!と、壮大な展開が待っているんだろうと期待もしつつ観てたのだけど、後半に入ったあたりから怪しくなってきた感じ。言いたいことはわかるんだけど、わかりにくい独りよがりなセリフの応酬と、なんでそうなるのかわからない展開に頭を抱えっぱなし。話のネタとしては、自分の影との戦いってのがあったと思うんだけど、同じようなネタを扱ってたブレイブストーリーのほうが、自分との葛藤とその克服を、よっぽどうまく描けていたんじゃないかと思います。宮崎吾朗監督の言いたいこと、やりたいことはわからんでもないけど、その言いたいことをセリフで言わせるだけでは、芸が無いにもほどがあるよなー。

また、この映画は、絵の動きで魅せるような場面はあんましなくて、誰かと誰かの2人が独りよがりな会話をするシーンが大半を占めていたと思うんだけど、その会話の内容がなんだかよくわからんのに加えて、その見せ方もよくない。その2人を単純に、横から、あるいは前から撮ったレイアウトばかりで単調なんだよなぁ。

そして、今までのジブリ作品(特に宮崎駿監督作品)は、画面、特に背景美術の凝りようがすごかったと思うのだけど、今作はそれもない感じ。背景に動きがないんだなぁ。ハウルの動く城なんかは、話はよくわからなかったけど、美術…たとえば、動く城の中の生活臭あふれる様子…を観てるだけでも楽しめたんだけど、今作はそういう楽しみすら皆無なんだよなぁ。まあ、美術はイマイチでも、キャラはよく描けてたと思うけど、さっきも書いたように、その見せ場がないからもったいないことこの上なし。

結局、父は偉大だったってことを証明しただけの映画だったような気がします。こんな映画でも興行的には成功しちゃうと思うので、第2回宮崎吾朗監督作品はきっとあるんでしょうね。今回の経験を生かし、勉強して、きちんと観られるものを作って欲しいなぁと思います。

気になったのは、この映画の原作はゲド戦記でいいと思うんだけど、原案が宮崎駿の「シュナの旅」ってクレジットされてたのはどういうことなのか、よくわからなかったです。原作あるのに原案って何だろう?